異体字(いたいじ)とは、同じ意味や読みを持ちながら、異なる形で書かれる漢字のことを指します。これらは字形が異なるために「異体字」と呼ばれます。異体字は歴史や地域、書体の違いによって発生したもので、古くから中国や日本などの漢字文化圏で使用されてきました。
例
- 「竜」と「龍」
- 「浜」と「濱」
- 「豊」と「豐」
- 「国」と「國」
どちらも同じ意味を持ち、どちらも正しい漢字として認識されますが、書かれる形が異なります。
日本における異体字の扱い
日本では、戦後の漢字改革で「常用漢字表」が制定、異体字の中から特定の形が標準的な形(正字)として定められました。しかし、歴史的文書や伝統的な書き方を尊重する場面では、異体字も使われることがあります。例えば、文学、芸術作品、人名、屋号などでは、古い異体字が使われることがあります。
Unicodeと異体字
現代のデジタル技術では、異体字の管理は、Unicode(ユニコード)という国際標準文字コードで、異体字も個別のコードが登録されています。そのため、異体字の違いをコンピュータ上で正しく扱うことが可能です。
和文フォントには同じフォントにもPro・Pr5・Pr6などのバージョン違いがありますが、これはアドビ株式会社が定めた文字セットの違いで、異体字や記号、特殊文字などの収録数が違います。
DTPでは異体字が収録されているフォントの場合、InDesignやIllustratorに搭載された字形パネルによって切り替え、選択することができます。
異体字の種類
- 本字(正字)と略字: 正式な形と簡略化された形(例:「雲」と「云」)。
- 旧字と新字:古い字形と新しい字形(例:「靑」と「青」)。
- 地域差による異体字:中国、日本、台湾、韓国などで異なる字形(例:「广」と「廣」)。
- 伝え間違い:戸籍登録などの際、手書きの文字を写した際に発生した間違いが元になる場合もある。(例: 渡辺の「邉」「邊」「边」、斉藤の「斎」「齊」)